鯨で有名な和歌山県太地町の手前、森村湾の奥に小さな駅がある。
近くには海水浴場、景勝地・ゆかし潟、湯川温泉がある。
かつては乗降客で賑わったのか、ホームだけはかなり長くなっているが、
現在は、2両編成の普通電車が2時間に1本程度停まるだけ。
美しくカーブしたホームからは海水浴場でもある海が見え、
海岸線に人知れず佇む、小さく穏やかな駅になっている。
この日、海からの湿った風は熊野山地に当たり、大量の雨となって降ってきた。
静かだったホームは、雨が打ち付ける音でにわかに賑やかになった。
ほとんど使われなくなってしまったホームが流す悲しみの涙のようにも思えてくるのだった。
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